メンコ
メンコは、丸いのと四角いのがあるけど、私が育った町では、
幼稚園から小学低学年クラスが丸メンで「いかし」あそび、
中高学年はカクメンを使ったダシと呼ばれるギャンブル性の強い競技が行われていた。
3センチ5センチ四方くらいの薄手のメンコを、数百枚から大勝負では数千〜みかん箱一杯分、
それこそ全財産(手持ち全部)を賭けて、
たった一枚取り決めた絵柄のメンコを、ダシメンと呼ばれる道具的な少し厚手のメンコを交代で投げ当て
決めメンを出したほうが勝ち。
上手く射当てると、最初の一投目で決めメン一枚だけがメンコの束から走るように抜け出てきて、
ホントその瞬間は快感。
勿論勝てば全部いただきで、子供の遊びとはいえ、今思い出してもかなり非情な勝負。
その辺の詳しい描写は、昭和の漫画家「永島慎二」さんのおそらく初期のものだと思うが、
「はないちもんめ」という作品で描かれている。
昭和20年代はじめ戦後復興の始まりの頃、まだ辺りは焼け野原の空き地だらけだった東京の、下町の子供たちのドラマを書いた短編もので、
終盤で、カミソリの云々とナタ政の町のガキ大将同士のメンコ大勝負で、先ほどの様子が上手に描かれている。
だいぶ昔、青林堂書店から全集ものが発刊され、それで読んだけど、残念ながら今は手元に無い。
それでそのダシメンなんだけど、張り合わせものは禁止で、手に入れにくい厚手のカクメンを何らかの手段で調達し大事に使用する。
厚すぎても薄過ぎてもいけない。厚いと一振りで大量のメンコが固まってバラけ、逆に相手にチャンスを与えてしまう。
そんな中、当時プレミアムがつきそうなほど皆が欲しがっていたのが、
通称「バキューメン」いわゆる「おばけのQ太郎」が描かれたもので、厚さ、硬さともぴか一で、
前述した一枚一発だしに向いている。しかし町内の駄菓子屋では手に入らない。
どこに行けば手に入るかは、かなりシークレットで情報がつかめずで、時には意地の悪い上級生が高値で売りさばいているのを、それでも欲しくて数枚分けてもらった記憶がある。
でもこれもベーゴマと一緒で、最終的には腕のいいやつが勝つ確立が大で、
私は、こういう遊びはえらく夢中になったが、勝負事には弱くて、
勝った回数のが少なかった気がする。