「あ〜。まだこれからハンドルか・・・」
リール本体が出来あがった後のため息混じりの一言だけれど、
本体製作中は、やれドラグの滑りがどうだとか、クラッチがどうだとか、ややメカニカルな作業に没頭しているのだけれど。
おおよその目鼻が立つと、ぼちぼちハンドルのデザインが気になり始める。

形状の決定は本体の出来あがった雰囲気を見て決めるので、初めから図面など引かず、
型紙にケガキの後、本材に写してヤスリや回転工具でダイレクトカッティング・・。
 
リール本体でさえ、大まかなサイズを頭で描いたら、現場で(工房で)電卓片手にいつも追っ付け作業で、
それでもリールになっていく。
勿論ドラグだクラッチだは、かなり事前に机上でお勉強するけれど・・。

冒頭でため息混じりとは言ったけど実はリール製作で一番楽しみな時間で、それでか、
ベイトリールは当然だけど、フライリールもおのずとそのタイプのものを製作する傾向にある。

フライリールの片軸タイプ(今、市場の殆どがこのタイプ)は、ハンドルとは言っても、
ハンドルノブとバランス錘だけで、私の好きなS字等のアーム部分は不要のボディー形状。
付かなくはないけれど・・・、必然性が無い。

リールを道具としての機能追求すれば余分な装飾的要素は要らないのだけれど、
釣る、観る、触る、飾る等の趣で捉えると、アームタイプのハンドルも捨てがたいものがある。
なんて思うのは、自分だけかしら・・。

写真左のようなタイプは、バランスも比較的簡単に取れるけど、なんとなく達成感は薄い

羽布仕上げして完成です。
ベイトリール5号機 でもこれの大判を作りました

シャフトへの留めネジは、カラーをあてがい、
標準小ネジでも構いませんが、
今回は全体のデザインを考慮し、
大平頭のネジを作りました。

NO150723ハンドル製作の様子

SUS材にケガキした後、定位置に穴処理を
先に済ませ、帯鋸で大まかな切り取りをし,
中央部分とハンドルノブ周りをミーリングで
円弧切削します。
奥に見えるバランス錘は別途製作して
後付けです。

さらにボールベアリングを介して
プロペラ廻しをし、チェックをします。


S字ハンドルの場合は更に別の方法で
最終チェックをします。

この状態から後は、バランスを見ながら
形を整えていきます。ヤスリやダイヤモンド工具、サイザルバフを頻繁に
使用します。

初めからバランス錘を若干重ために作り。
このデザインの場合、裏側からのミーリングで調整してゆきます。

ノブ側は、留めネジを長く作っておくことで
いざという時の重さ調整が可能です。
最後の砦ですが・・・。


真中に150mmサイズのスケールを立てて
チャックでくわえその上にハンドルを
乗せてみました。


今回のデザインは左右(上下)対称ですので
このバランス状態でかなりいい線いってます